事業結果報告書(PDF)
 元喜載・杉山恵助・佐々木淑美(東北芸術工科大学 文化財保存修復研究センター)
  「《最後の審判》本格解体修理報告書
 杉山恵助(東北芸術工科大学准教授)初期ド・ロ版画表装の独自性
 内島美奈子(大浦天主堂キリシタン博物館研究課長・学芸員)・杉山恵助「ド・ロ版画印刷年代考
 島由季(大浦天主堂キリシタン博物館学芸員)キリシタンの死後の世界

修復記念展覧会

修復記念講演会

調査研究・修復

修復資料 R-d-32《最後の審判》

修復の前後

修復前修復前  修復後修復後

修復工程

赤外線撮影

調査(損傷図面作成)および採寸
通常光、透過光、赤外線、紫外線を用いて全体の写真撮影を行う
さらに損傷部分の写真を撮影し、損傷箇所の確認と記録のために損傷図面を作成する

ドライクリーニング

ドライクリーニング
筆とミュージアムクリーナー(資料に適した小型掃除機)で埃を除去

解体

解体
表木と軸木を取り外す

解体(動画)

総裏紙、中裏紙の除去

総裏紙、中裏紙の除去
本紙の裏に貼り付けられた裏打ち紙のうち、外側から総裏紙、中裏紙の2層を取り除く
同時に本紙と裂の継ぎ目に施された筋裂を除去し、本紙から裂を取り外す

総裏紙、中裏紙除去(動画)

絵具の点検および剥落止め

絵具の点検および剥落止め
彩色された部分に湿らせた吸い取り紙を置き、絵具の粒子が付着するかどうかを確認する
本資料の場合、下部の朱色の絵具に剥落の可能性があったため、2回の剥落止め処置を行った

ウェットクリーニング

ウェットクリーニング
本紙および裂の表面からイオン交換水(不純物を取り除いた水)を噴霧し、下に敷いた吸い取り紙に汚れを吸収させる
作品の状態を観察しながら洗浄作業を繰り返す

表打ち

表打ち
本紙表面からレーヨン紙などを貼り付け、本紙表面の保護と紙片の固定をし、本紙を平らにする作業を行う
今回は厚さの異なる2種類のレーヨン紙とポリプロピレン主体の紙を用いて、合計4層の表打ちを行った

表打ち・前編(動画) 表打ち・後編(動画)

肌裏紙の除去

肌裏紙の除去
本紙裏に貼り付けられた肌裏紙を除去する
本紙裏面からイオン交換水を用いて水分を与え、表打ちの紙が外れないように調整しながら作業を行った

本紙の補修

本紙の補修
本紙の基調色に合わせてアクリル絵具で染色した紙を、補修が必要な箇所に合わせて成型し、本紙裏側から貼り付ける
本資料は紙質検査に基づき、補修紙に宣氏(青檀と稲藁が原料の紙)を用いた

本紙表打ちの除去および肌裏打ち

本紙表打ちの除去および肌裏打ち
4層の表打ち紙のうち、先に外側3層を取り除く
イオン交換水を十分に噴霧し、表打ちの際に使用した糊を紙で吸い取り除去する
本紙の色調に合わせて染色した薄美濃紙を本紙裏に貼り付ける(肌裏打ち)
肌裏打ちを行ったあと、残しておいた1層目の表打ち紙を除去する

表装裂のクリーニング

表装裂のクリーニングおよび肌裏打ち
裂に施された旧肌裏紙を除去し、新たに肌裏打ちを行う
本資料の裂には部分的に酢酸ビニル系接着剤が付着しており、その部分を削り取った

本紙と表装裂の増裏打ち

本紙と表装裂の増裏打ち
美栖紙を本紙と裂の裏面に貼り付ける

折伏せ

折伏せ
本紙や裂の強く折れが生じている箇所、折れが懸念される箇所に、裏面から紙帯を貼り付けて補強する

補彩

補彩
本紙の補修で当てた補修紙を、本紙の地色に合わせて補彩する

付け廻し

付け廻し
本紙と裂を小麦澱粉糊でつなぎ合わせ、掛軸装にする

中裏打ち

中裏打ち
美栖紙を本紙・裂の裏面に貼り付ける

表装裂の補修

表装裂の補修
裂の色調に合わせて染色し裏打ちを施した補修絹を、裂の損傷箇所に合わせて成型し、裂の表面からはめ込む

耳折り

耳折り
ほつれを防ぐために糊止めを施した裂の左右の端を、裏側に3~5mmほど折り返す

総裏打ち

総裏打ち
上巻絹と宇陀紙を本紙・裂の裏側に貼り付ける

仮張り

仮張り(表張り、裏張り)
本紙・裂を裏面から湿らせ、表面が外を向くように仮張り板に張り込んで乾燥させる
一定期間乾燥させたあと、板から外し裏刷り(掛軸を巻きやすくするための作業)を行う
次に本紙表面を内側にして仮張り板に張り込み、再び乾燥させる

軸木を取り付ける

仕立て
仮張り板から本紙・裂を外し、表木と軸木を取り付ける
本資料の表木には掛緒と巻緒を取り付ける